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相続人の一人が被相続人の財産を管理している場合などにしばしば生じるのが、相続人の一人が不正に相続財産を使っていたなど相続財産の使い込みです。相続財産の中でも、性質上費消しやすい預貯金において特に問題となることが多いです。

遺産の使い込みに関する確認・調査

相続財産の使い込みが発覚した場合、使い込みを行った相続人等を特定し、使い込みを行った相続人に対して使い込みの経緯や使途を確認することになります。

当該財産を管理する相続人や使い込みを行った相続人から、資料の提供や経緯・使途などの説明がない場合などには、必要に応じて、弁護士会照会等で証拠を収集することが考えられます。預貯金であれば、弁護士会照会で金融機関から取引履歴を取得することもできますし、相続人自ら金融機関に対し手続をとることで取引履歴を取得することもできます。

その後、使い込みを行った相続人に対し、他の相続人はその返還を求めることになりますが、使い込みを行った相続人が素直に返還に応じるとは限りません。

そこで、最終的には、使い込みを行った相続人に対し、他の相続人は、調停や訴訟によりその返還や損害賠償を求めていくことになります。

他の相続人が遺産の使い込みをしていると窺われるものの、使い込みを行った相続人からの説明がない場合には、証拠の収集が必要となりますので、当事務所にご相談いただければと思います

使い込みがされた財産の扱い

では、使い込みがなされた財産は、遺産分割協議や遺産分割調停の中で、分割すべき遺産の一つとして扱うことはできるでしょうか。

遺産分割の対象となる遺産は、原則として、相続開始時に存在し、かつ、遺産分割時にも存在するものとなります。

従って、使い込まれた財産は、遺産分割時に存在していないことから、原則として、遺産分割の対象とはなりません

ただ、例外的に、相続人全員の同意がある場合には、使い込みの問題を遺産分割調停の中で解決することができます。相続人全員の同意がある場合には、使い込まれた財産も遺産として存在するものとみなすことができる(民法906条の2第1項)のです。同条項は、従来運用で対応していたものを平成30年の民法改正で明文化したものです。ただ、相続人全員の同意がなければならないとすると、使い込みをした当の相続人自身の同意も必要になってしまいます。そこで、使い込みをした相続人以外の相続人全員の同意があれば、遺産として存在するものとみなすことができる旨の規定も設けられています(民法906条の2第2項)。

使い込まれた財産の回収

上記については、使い込まれた相続財産の問題を遺産分割の話の中で解決しようとする場合の対応方法になります。

これに対して、使い込まれた相続財産の問題を遺産分割の話の外で解決することも可能です。なお、相続人全員(又は、使い込みをした相続人以外の相続人全員)の同意を得られなかったために遺産分割の話の中で解決できなかった場合には、遺産分割の話の外で解決するほかないことになります。

具体的には、当該財産を使い込んだ相続人が自己の利益のために隠匿・領得した場合等には、不法行為(民法709条)に該当する可能性があり、当該財産を使い込んだ相続人に対して他の相続人が損害賠償請求権を有することになります。

また、相続財産を使い込んだということは、何ら法律上の原因なく当該財産を使い込んだ相続人が利益を得て他の相続人が損失を被ることになりえますので、不当利得(民法703条・同704条)に該当する可能性があり、当該財産を使い込んだ相続人に対して他の相続人が利得金返還請求権を有することになります。不当利得に関しては、当該財産を使い込んだ(財産を受領した)時点で、当該財産を使い込んだ相続人が「悪意の受益者」(民法704条前段)に該当することになりますので、利息も付して返還請求することができることになります。

これらは、遺産分割とは別に、使い込みを行った相続人に対して請求することになります。請求しても支払われない場合には、訴訟を提起することも検討する必要があるでしょう

使い込まれた財産を遺産分割の中で解決するにしても、損害賠償請求・利得金返還請求によって解決するにしても、適切な主張・立証が必要となりますので、当事務所にご相談いただければと思います

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