事業承継とは、会社を存続させて会社の経営や資産などを後継者に引き継ぐことを指しますが、経営者が引退する方法としては会社を閉じるという方法もあります。
会社を閉じる方法としては大きくわけて以下の方法があります。
通常清算
会社の資産が負債を上回っている場合には、通常清算手続をとり、負債を支払って会社を清算することになります。
この場合、会社が負っている債務は全て支払うことになり、経営者の個人保証債務も消滅しますので(ただし、個人での借入れがある場合は別です)、安心して引退することができます。
特別清算・破産手続
次に、資産が負債を下回っている場合には、裁判所の監督下において特別清算若しくは破産という手続をとることになります。手続の詳細につきましては、特別清算手続についてはこちら、破産手続についてはこちらをご覧ください。
特定調停
資産が負債を下回っている場合ですが、裁判所が仲裁役となって話し合いの手続で進める特定調停という特別清算・破産手続よりもソフトランディングな手続もあります(詳細はこちら)。
また、会社を閉じるにあたっては、通常清算の場合を除き、経営者が会社の債務を個人保証している場合にはこれについても整理する必要があります。
方法としては、個人保証債務を消滅させるため、特定調停手続を利用して経営者保証に関するガイドラインに基づき個人保証債務を外してもらう(詳細はこちら)、破産手続(詳細はこちら)、個人再生手続(詳細はこちら)、任意整理手続(詳細はこちら)などがあります。
破産する場合には、手元に残すことができる財産は自由財産の範囲内(全ての財産を合わせて原則として最高99万円まで)でしか認めてもらえませんが、経営者保証に関するガイドラインに基づき個人保証を外してもらう場合には、99万円を超えて財産を残せる可能性、自宅を残せる可能性もありますので、引退するにあたっては、経営者保証に関するガイドラインを利用することができないか検討してみるべきです。